張子の型を作る。

日本の人形はその緻密さと複雑さから分業制がほとんどとなっています。

例えば日本人形だと頭だけ取っても、頭を作る「頭師」髪の毛を植える「結髪師」などと二つに分かれます。そのほか衣装の着付けや胴体制作など細分化されています。

張子人形も単純な構造ながら江戸の昔では「型師」と「張子師」に分かれます。勿論型から作っていた器用な人もいたかもしれませんが、型は当時大体「木型」が主でしたので、張子の制作のほかに木彫技術も必要となると分業であっただろうと推察されます。

当方も昔から伝わっている型は「木型」でした。ですので30年、40年前はそれにならって新作の型は知り合いの木彫師に依頼をしていました。

しかしそうなると手間も時間もかかり、更には小回りが利きません。例えば来年の干支を作る際にはかなり前から準備をしないと量産には間に合いません。そこの改善点として分業ではなく型から作る一貫製法で製作をする必要がありました。

また「木型」を使用するのにも短所があり、使っていくと摩耗します。つまり量産していけばいくほど破損していきます。その短所も消す必要がありました。当初使いやすい石膏を素材に作ることも考えましたが「摩耗」を考えると選択は出来ませんでした。

そこで選んだのが「焼き物」でした。

信楽などの土をこねて形を作る。そして乾燥。その後800度くらいの低温で素焼き。それに釉薬をかけて1200度で焼成します。そうすると粘土細工と同じ技術で(木彫などの専門技術がなくても)、しかもかなり頑丈な型が出来上がります。

今でこそ東急ハンズなどに行けば樹脂粘土やオーブン粘土など豊富に素材が揃っていて、聞けば若い作り手さんはそれらを使いこなしているようです。

しかし当時はあまり素材にも幅はなく、他に選択肢がなく焼き物を選びましたが、結果耐久性もあり、しかも焼き物の一品作の人形(土人形)も作ることが出来、素材としても天然のものであるため比較的安価で入手が出来るため現在もそれを使用しています。(勿論樹脂粘土やオーブン粘土、スカルピーなど最近の便利な素材も使い分けています)

というわけで当方は型から制作をしているので、お客様のご要望に1から応えてお望みの物を作ることが出来ます。

手作りであるためにロット数も関係なく小さいものから大きいものまで対応できます。

そうして制作したものは制作一例として「新作紹介」や「企業コラボ」のページで紹介しています。またインスタでも紹介していますので是非ご覧頂ければと思います。